“世界の兵士に愛用されるAK-47 というライフルがあって、

AKは、部品どうしのはめ合わせは遊びだらけで、部品はどれも、けっこう重たい。

見た目の精度感みたいなものとは無縁なんだけれど、AKはその代わり、ガタが多いからホコリに強くて、どんな状況でも、少ない手入れでよく動く。

部品が重たいから、銃弾を動かす力もそれだけ強力で、弾が少々凹んだぐらいなら、AK-47は、弾詰まりを起こすこともなく動作する。

AK-47の「ガタ」とか「重たい部品」は、それを設計したカラシニコフに言わせれば、

最初からそういうように作ってあるものなんだという。

これをたとえば、より精密に「改良」したところで、改良されたその製品は、たぶんオリジナルより悪くなる。

そこにどうしてガタがあったのかを考えないで、「前より厳密」を、無批判に「いいことだ」なんて努力する人たちには、

AK-47 は一生かかったって作れない。

厳密を、単純に「いいこと」なんて断じると、

AK-47はたぶん、砂粒一つ噛みこむだけでで動作を止める。

「厳密に改良された」ライフルで戦って、兵士がみんな、動作不良で殺されたところで、

努力の好きな人たちは、「やるべきことはやった。しかたがなかったのだ」なんて、


満足そうに敗北をふり返る。自分たちのせいなのに。”