“だけど,日本でも,歴史をさかのぼれば,性に関して今より開放的だった時代もありました。
たとえば,江戸時代以前の日本の庶民に関しては(武家や公家など上流階級は別にして),処女はほとんど道徳的な意味を持たなかった。どういうことかと言えば,既婚女性が夫以外の男と性関係を持つのは咎められたけど,未婚の女性の性関係についてはほとんど自由であったようです。

このため,戦国時代に日本にキリスト教を伝えた宣教師たちは,マリアの処女懐妊の道徳的意義を日本の庶民に理解させることができなかったというエピソードが伝えられています。当時の日本の庶民は,処女であることがなんでそんなに偉いことなのか,理解できなかったのです。

だからこそ,夜這いの習慣が明治の中頃まで存続したのでした。夜這いは,ある意味で,女を男の性欲処理の道具として扱うもので,手放しでほめられるものではありませんが,知っておいてほしいのは,夜這いをした男だけでなく,夜這いを受け入れた女の側も何ら道徳的に非難されなかったし,「傷物」扱いされなかったということです。

現代でも,女を性欲処理の道具として扱う男は掃いて捨てるほどいます。そして現代の社会は,そういう男たちには何の道徳的非難も加えないのに,性欲を受け入れた女には,「淫乱」,「あばずれ」など道徳的な罵倒を浴びせます。この点で,現代は江戸時代以前より退化したと言えそうです。”
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出典: deli-hell-me